先日ミュートを買ったお話をしましたが、このカップミュートという種類のミュートを持っていたときの話です。
人が多いところでトランペットにカップミュートを装着した状態でスタンバイをしていたところ、小学校3,4年生くらいの男の子とお母さんが近くを通りかかりました。
初めはお母さんのほうが、
「あ、トランペットだよ!」
と僕の楽器を指さして子どもに伝えていました。子どものほうも「ほんとだ!」といったリアクション。
トランペットを吹いているか、興味があるか、何らかの理由で知ってるといった具合です。
男の子はトランペット本体ではなく、ミュートのほうに意識が向いているようで、
「お母さん、ぼく、あのミュート知ってるよ!」
なかなか渋いなあ。
と思った矢先、男の子の口から意外な言葉が出てきました。
「お母さん、あれはね、『夢のような音が出る』ミュートなんだよ!」
夢のような音が出るミュート
夢のような音が出るミュート
...
頭からバケツの水をかぶったような衝撃。
頼んでもいないのにアイス・バケツ・チャレンジを男の子に強要させられた気分。
俺はいつからこんなに心が汚れてきたのだろうか。
幼い頃は何を見てもキラキラと輝いて見えていたじゃないか。
桜並木
夏の木漏れ日
一面に広がる紅葉
雪が降れば街がすべて遊び場になり
何日でもワクワクしながらスパルタンXで遊んでいたじゃないか。
ああ、俺はいったい今まで何をやってきたのだろう。
子どもの純粋なひとことで、心が洗われました。
でも、ごめん、男の子よ、
この夢のような音が出るミュート、
音量がうるさいから強制的に付けさせられているだけなんだよ。
ごめんよ、
ごめんよ...
荻原明(おぎわらあきら)
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