まずは楽器のコンセプトを理解するところから。

「音のツボ」という表現をよく使います。


ツボとは、簡単に言えば、楽器のコンセプトのことです。


製作者やメーカーの目指したひとつの完成形がそれぞれの楽器には備わっていて、中でも特に音色の点でそれが明確です。そのコンセプトの音色を鳴らすためには人間がああだこうだとこねくり回すのではなく、楽器が個性を発揮するために必要分だけをサポートすることが必要です。

(めちゃくちゃざっくり言いましたが、詳しくはこちらのブログに書いてあります。)


ですから、楽器というのはすでにひとつの完成形である、と考えるべきだと思うのです。



昔から、楽器に何かを付けることで音が良くなるとか、こんな改造をすると音がどうのこうの、なんて話があります。

しかもそれらには流行みたいなのがあったりして、いつの間にか消えていき、また新しいものや新しい考えが出てきて定着しません。


そもそも、そうした改造方法が本当に意味があって多くの人が認めたものであれば最初からそうしたコンセプトの楽器が作られると思うのです。確かにそうした楽器がないわけではありません。しかし現状はどうでしょうか。結局いつも原点回帰しているように感じてなりません。


別にそうしたグッズを批判するつもりなどありませんが、僕はそうした改造パーツ的なものは使いません。それよりも今自分が使っている楽器の真価を常に100%発揮するほうが優先だからです。


その楽器の持っている力を最大限発揮できるようになったその時、自分の求めている具体的なイメージと相違点があると気づいて、その溝を埋めてくれるきちんと立証された理論の元で考えられた改造方法やグッズのようなものがあり、その結果がきちんと伴い、自他共にそのほうが良いと認められるのであれば使うかもしれませんが、可能性は相当低いですよね。だから使うに至らないのです。


あ、ただ、マウスピースでお世話になっているJun'sさんが制作されたピストンボタンと軸部分を交換したときに起きた音の変化は明確に理解できました。なぜそこが変わると音色が変わるのか、そして具体的にどのように変えたのかを説明してくださって、理論的だったので、こういったものは出会えたら良いかもしれませんね。

もちろん、誰かが使って「これ良いよ」だけで自分も使うのではなく、まずは自分が納得することが絶対ですが。


改造パーツは興味本位で使ってみるのは悪くないと思いますが、自分自身のポリシーや目指すものが明確になっていないと良し悪しすらわかりません。結局は研究と練習が何よりも大切なのだ、という話に戻ってくるわけで、ウスピース沼とか言って何十本も意味もなく持っている人も、もうそんなのどうでもいいからどれか1つに絞ってもっと楽器を吹きましょう。





荻原明(おぎわらあきら)

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