トランペットでは、マウスピースを唇に接触させることを「プレス」と呼びます。
このプレスについて、巷では「プレスはしないほうがいい」とか「プレスはしっかりすべきだ」とか「高い音を出すにはプレスをたくさんするほうがいい」など、言ってることがみんなバラバラです。
その理由は、状況や状態の違いもそうですが、最も大きな原因は、自分自身の感覚的なものを、さらにどの部分に意識の焦点を当てているか、さらにさらにそれを言語化したことによる表現力、それをどういった人になぜ伝えようとしているのか、そうしたシチュエーションによっても全然違うからです。同じことを伝えようとしていても、人によって使う単語や喋り方、声の強さや、さらに言ってしまえばその人の立場、地位、何気ない会話の中なのか雑誌に掲載されたものなのか、尊敬している人なのかそうでないのかなどでも受け取り方も説得力も全然違うのです。言葉というのはとても厄介なものです。
レッスンをしていると「言語化」について敏感になっている自分がいます。同じ言葉であっても相手の捉え方によっては真逆になることさえあるので、相手とのディスカッションや洞察力が重要になります。
そうした中で、誰もが共通している認識をまず持つべきではないか、という考えに至ったことで、言葉のブレが少なくなったように感じます。それが「原理」です。
例えばトランペットから音が出る「原理」はどのような状況でも共通しています。その原理を実現するための体や楽器、マウスピースなどの使い方や工夫は人それぞれなので(だから意見が分かれる)、原理を共通認識としていればお互いがブレないし、自分自身で工夫して結果を求めていくことができます。
「プレス」に関しても同様で、なぜプレスが必要なのかがわかれば、何をどれくらい必要とするのがわかります。単純にプレスは軽いだ思いだと言うのではなく、必要分を用意したことで発動する原理を求めていけば、自然とプレスの強さも見えてくるわけです。
毎朝7:30にツイッターとフェイスブック(ラッパの吹き方)で更新しております「#今朝の一言_ラッパの吹き方」では、トランペットや音楽に関するちょっとした一言を投稿しております。
少し前に「プレス」についても書きましたので、こちらにも書いてみました。
ぜひ皆様「いいね」「リツイート」「シェア」などをよろしくお願いします!
[マウスピースのプレス]
— 荻原明(Ogiwara,AKIRA) (@ogiwara_a) December 16, 2022
必要なことではありますが、意味のない強いプレスは逆効果になります。最適なプレスは唇にも口周辺の筋肉にも負担をかけすぎず、音の反応と音色の良さを持っている、そうしたバランスの良い状態です。#今朝の一言_ラッパの吹き方
[マウスピースのプレスの仕事]
— 荻原明(Ogiwara,AKIRA) (@ogiwara_a) December 17, 2022
唇の仕事は振動するためにアパチュアを用意することです。マウスピース外の口角から空気漏れしないために口を閉ざしても、リムと唇が貼り付いているから中央は完全に閉じることがない、という状態を用意するためなのです。#今朝の一言_ラッパの吹き方
[マウスピースの強いプレス]
— 荻原明(Ogiwara,AKIRA) (@ogiwara_a) December 18, 2022
意味のない強いプレスは唇の振動部分を狭め、響きのない音やビービーしたノイズ混じりの音になる可能性があります。最も注意したいのはそれによってアパチュアが無意識に潰れてなくなってしまう状態です。これでは豊かな音は出せません。#今朝の一言_ラッパの吹き方
[マウスピースの弱いプレス]
— 荻原明(Ogiwara,AKIRA) (@ogiwara_a) December 19, 2022
プレスは良くないと思いすぎて軽いプレスにしすぎると、それを補填するための口周辺の筋力が必要以上に働き、筋力バテが起こりやすく、さらには硬い音、コントロールが不安定になるなど、バランスが悪くなります。#今朝の一言_ラッパの吹き方
[マウスピースのプレスとは]
— 荻原明(Ogiwara,AKIRA) (@ogiwara_a) December 20, 2022
唇とマウスピースリムの位置の安定が目的です。演奏中貼りつきあっていることで口周辺の筋力を必要としすぎず、アパチュアを用意し続けられます。サックスやクラリネットのリガチャーのような役割と考えればわかりやすいかと思います。#今朝の一言_ラッパの吹き方
[マウスピースのプレスとハイノートの関係]
— 荻原明(Ogiwara,AKIRA) (@ogiwara_a) December 21, 2022
プレスをすると高い音が出るように感じるのは、アパチュアを押し潰したことによる結果です。ただし、体内の空気が高圧になって、スピードのある空気に耐えるために若干プレスが強まることは考えられます。#今朝の一言_ラッパの吹き方
荻原明(おぎわらあきら)
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