やっぱりどうしても練習時間は必要

トランペットのレッスンにいらしている方の中には、お仕事や勉強が忙しく、どうしてもトランペットに触れる時間が少ない方も大変多いです。究極、レッスンの時にしか楽器に触れない方もいらっしゃいます。

そんな忙しい中でもレッスンに来てくださること、トランペットを吹きたいと思ってくださることが素晴らしいと思います。


しかし、正直なところレッスンの時間だけしかトランペットに触れないとなると、やはり難しいところはたくさん出てきてしまいます。特に初心者の場合はそれが顕著です。

仮に、過去に吹奏楽部などでたくさん楽器を吹いてきた経験のある方は、例えブランクがあってもある程度は音を出せますが初心者はそうもいきません。まず音を出すことができないのです。


レッスンとは、より芸術性の高い音楽を演奏するために行うものもありますが、音楽教室の場合はそういったことは稀で、ほとんどの場合基本的な理論や安定した演奏をするための方法を知り、そして自分のスキルにすることが主な内容になります。

音楽をするための最も基礎的な部分をきちんと作り上げるわけですが、そのためには自分自身の体をどのように使うのかを感覚的に理解していく必要がどうしても出てくるわけです。


特にトランペットの演奏は非常に感覚的なもの。しかし感覚的なだけだと安定感を得ることが難しいので、そこに理論という柱を立てることで積み上げていくことができるわけです。


理論は方向性を安定させるために必要なことであって、いわば遠回りをしないための地図のようなものです。それを持っているだけでは何も起こらないので自分の足で歩み続けなければなりません。講師はその背中を押すことはできますが、それ以上は無理です。


ですからレッスンの時しか楽器に触れられない方の場合は、その感覚を手に入れるための試行錯誤をレッスン時間に充てることになります。それはすでにレッスンではなく練習をしている生徒さんを見守る形になっています。講師がそのときにああでもないこうでもないと口を挟むこともできますが、試行錯誤している人に外野から、いろいろ言うのは単なる思考の混乱を招いてしまうだけなので、講師としてはジレンマを感じてしまうわけです。



若干厳しいことを言えば、やはりレッスンを受けるからにはそのための準備時間を確保することが必要です。時間がないとは言っても、もし仮に毎日世界中を飛び回ってるレベルの忙しい人でも、絶対にどこかで空白の時間は存在します。ですから工夫をすれば24時間のうち5分くらいは絶対に確保できるはずなのです。その5分をマウスピースを口に当ててセッティングの感覚を身に着けることは可能だと思っています。



時間がないとは言え、結局は意思の問題ではないか、と僕は思うのです。



せっかくレッスンを受けているわけだから、演奏できて楽しい!自分のスキルアップに繋がっている!と、心が満たされる時間であって欲しいです。そのための協力は惜しみませんが、前に踏み出すためのその一歩は本人にしかできないこと。ぜひポジティブにトランペットに関わって欲しいな、と願っています。



「習い事」と一口に言ってもいろいろで、例えばジムとかヨガの場合は何の下準備もなくその場に行って体を動かして終わりでも充足感を得ることはできます。しかし音楽というものはそうはいきません。レッスンとレッスンの間に「練習」という時間を自主的に設ける必要があります。

もちろん、それが負担になってしまうほど練習しなさいと言っているわけではありません。

ほんの5分でも毎日マウスピースに触れたり、レッスン前に30分早く来て練習するなど時間の使い方を工夫してもらえたら嬉しいな、と思っているだけです。


そのほうがもっと楽しいと思えるから。




荻原明(荻原明)

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