SNSなどで大量のマウスピースの写真を掲載しているのを見かけることがあります。
お金あるなあ。
僕はマウスピースは1種類につき1つしか使わないのですが、あの数のマウスピースはそれだけ何度も交換していたからなのか、それとも何か使い分けをしているのか。もしくはコレクター的要素なのでしょうか。
音大生の頃、マウスピースにとても悩んでいる時期がありました。どれを吹いても、どれも良さそうで、でもどれもしっくりこないあの感覚。
その時のことを思い出すたびに、こう思うのです。
全部マウスピースのせいにしたかったんだな、と。
バテるのも、高音域が出しにくいのも、音色が納得いかないのも、コンクールで落ちたのも、郵便ポストが赤いのも、自分に合うマウスピースがあれば、もしかしたらうまくいくのかもしれない、と。
でもそれは違う、というのがわかったのは、正直言ってここ10年くらいです。きっかけは音の出る理論をきちんと考え、学んでからです。
マウスピースは空気抵抗を発生する装置。トランペットの音の発信源である唇の振動は、マウスピースによって生まれる空気抵抗(返しの圧力、と僕は呼んでいます)によって発生します。
同じ体内の空気圧が存在した場合、マウスピースの形状やサイズが変われば空気抵抗の割合や状態が変化するわけです。それによって唇の振動も変化しますし、結果としてサウンドにも影響が出る。
したがってどのマウスピースが良いとか悪いではではなく、自分のイメージとそのマウスピースによって生み出されるサウンドがどれだけ合致するかが重要。
それともうひとつ大切なのが、リム。
マウスピースを唇に付けて、合う合わないをすぐに感じるのは唇とリムではなくて前歯です。
これはもう個人差があるので何が良い悪いは当ててみなければわかりません。オススメなんてありません。
ですから、話を聞いたことしかないので事実か存じませんが、部活動などで先生が生徒さんに同じマウスピースを強制的に使用させてるって、あれはもう完全に「私勉強不足ですよ〜ん」って言ってるのでやめてあげてください。可哀想すぎです。
隔週火曜に掲載している「ラッパの吹き方:Re」にマウスピースについても詳しく解説しています。ご興味ありましたらそちらもぜひご覧ください。
荻原明(おぎわらあきら)
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