トランペットなどの管楽器、ヴァイオリンなどの弦楽器、ピアノなどの演奏の総称を「器楽」と呼びますが、演奏する作品の中には元々歌詞のある「歌曲」、オペラアリアや小品、日本の歌や童謡、ポップス作品なども含め、とても多く演奏される機会があります。
歌の曲には当然歌詞があり、歌詞を変えて同じメロディを複数回歌うことが多いですが、器楽では歌詞がないために、単に同じメロディを複数回繰り返してしまうだけになるので、1番部分だけ演奏して終わらせる、という手段をとる場合があります。
そもそも、そうした編曲の出版譜もたくさんあります。
吹奏楽経験者の方ならほとんどの方がご存知のミュージックエイト社の楽譜。あの出版社の楽譜はオリジナルのサイズを尊重して書かれていることが多いので、作品によっては2番3番などが用意されているのですが、実際の現場では、まったく同じことを繰り返してしまう関係で繰り返しをカットをすることも多いです。実際僕が中高生の時にもそれはよくありましたし、今でもそうした演奏を聴く機会も多いです。
吹奏楽コンクールでよく話題になりますが、指定時間内に最後までたどり着くために途中をカットしてつなぎ合わせることがあり、これを行う場合は出版社や作曲者など権利を持っているところへ許可をもらう必要があります。
そこでふと、器楽で2番をカットしてコーダ(終結部)に行くのはこの吹奏楽コンクールの楽曲カットと同じ扱いになるのだろうか?許可が必要なのだろうか?と疑問に思ったのでJASRACへ問い合わせてみましたら、とてもご丁寧に『楽曲の1番のみを演奏する際には、編曲に関する許諾申請は必要ございません。』との回答をいただきました。
ということなんですね。
いや、ちょっとびっくりした言葉を耳にしたのです。歌詞のある作品を器楽で演奏する際、2番をカットしたら、そんな慣例聞いたことがない、演奏家教育を受けていれば(楽譜通りのサイズで演奏することが)常識というニュアンスのことを言っていたので、多分カットした演奏などありえない、といった指摘なのでしょうが、
マジで言ってるんでかね。
ちなみにミュージカルナンバーでした。
それに、オーケストラでも例えばベルリオーズの幻想交響曲とかマーラーの交響曲第1番の第1楽章の繰り返しをカットして演奏したことありますが、マズかったんでしょうかね。
荻原明(おぎわらあきら)
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