新年度が始まるこの節目は楽器を購入する方が多い時期でもあります。僕の周りでも昨年から音楽教室でトランペットを始めた初心者の生徒さんが、ご本人から購入したいとのお話をしてくださいました。それまでは教室の備品を使用していました。
時を同じくして、東京音大の新入生からもトランペットを購入したいという話があり、かなりスムーズに同じ日程で楽器選定ができることになりました。
この時期は楽器屋さんがフェアを多く開催されていて、いつもお世話になっているドルチェ楽器さんは、偶然ですが選定日からちょうどトランペットウィーク(フェア)でした。フェア時はいつも以上に楽器を多く用意されているので、良いタイミングが重なりました。
写真に写っているだけでもかなり本数がありますが、実はテーブルに乗り切らないので、ある程度選定した後、Bachを4本入れ替えています。
最近剪定していて思うのは、ヤマハの質の高さ(写真手前)。今回は予算の中で購入できる楽器に限定したので、ニューヨークやシカゴモデルは入っていませんが、それでもここにある楽器(8335シリーズ)は素晴らしく安定していて、いわゆるヤマハのサウンドである柔らかくて暖かいふんわりとした響きと、ある程度どのように音を出しても、それなりに受け入れて響いてくれる感覚(個人的な抽象的感覚です)が強く、とても良い印象です。
一方、Bach(写真奥)は、正直なところ個体差があり、若干クセがあるものも中にはありましたが、しかしどれもBachのサウンドであるコロコロとした艶と輝きのある響き(個人的な抽象的感覚です)は備えていて、ハッキリと「この楽器すごく良い!」という数本がありました。
楽器選定の際に必ず購入者に伝えますが、その瞬間に「吹きやすい=自分の意志を汲み取ってくれやすい」と感じるものではなく、楽器そのものが「安定している」「目指すサウンドを備えている」といった点を見定めるための試奏をするようにお話します。そうしないと、どんな楽器でも強引に鳴らせば全部同じ音が出せてしまうので判断できません。
まあ、あれですよ。いつも近くにいてくれる大人は、何でもワガママを聞いてくれる人より、正しい方向に導いてくれる人のほうが良いってことです(しかし厳しすぎるのも問題です)。特に初心者や学生の方にはそのほうが良い。
だから楽器の選定は、それぞれの楽器と対話をするような気持ちで行います。
今回、お二人ともだいぶ悩まれましたが最終的には納得のいく楽器に出会えて安心しました。
これから長い間この楽器で楽しい経験をたくさん積まれることを願っています。
ドルチェ楽器さんありがとうございました!
荻原明(おぎわらあきら)
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