「脱力」という言葉は難しい

半分僕のせいでもあるのですが、レッスンで必要以上に体を力ませてしまう場合、そこまで力は必要ないと伝え、体の使い方について解説、実践を繰り返します。


生徒さんによって、そうしたお話がどの程度響くか違うために、その後のレッスンでも何度か同じことをお伝えすることもあれば、逆に強い印象として残り、その後も影響を受け過ぎてしまう場合もあります。


「力を抜きましょう」「もっと楽でも大丈夫」という言葉は、それを引き算で考えてしまうと、本来必要である筋力や体の動きまでも意識的に抑えてしまうことでパフォーマンスを低下させることに繋がります。


いつのまにか「力を入れてはいけない」になってしまうと、当然空気圧が高まらないので音量や響きがなく、いわゆる「支えられていない演奏」が生まれます。ですので、今度は「もっと力を使ってみましょう」と試行錯誤していくと、トランペットのもっている良い音色、響き、安定したピッチで演奏できるようになりますが、その際「こんなに力使うんですね!」とおっしゃるかたが多いです。


トランペットをコントロールするために必要な空気圧はほぼ同じなのに対し、その空気圧を生み出すために必要な筋力をどれくらいもっているのかは個体差があります。力加減をしなければ高すぎる空気圧になってしまう人もいれば、しっかりと筋力を使わないと実現しない人もいるので、この「脱力」という言葉はとても難しいのです。


常に結果ありきでバランスを考えていきたいものです。


隔週土曜日の朝更新しております音楽とトランペットに特化したブログ「ラッパの吹き方:Re」。過去の記事を掘り起こしております。今回は言葉の伝え方、受け取り方の難しさについてのお話です。ぜひご覧ください。

荻原明(おぎわらあきら)

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