結果を想像する。

以前どこかで読んだのですが、パソコンのソフトウェアについてひとりのユーザーから、こう変えて欲しい、こうしたらもっと良くなるなどと積極的に意見を伝えられたので、それを元にメーカーがバージョンアップしたら多くの人から「改悪だ」と言われ、まるっきり売れなくなってしまったことがあったそうです。


日本に限ったことなのかわかりませんが、物事に直接意見をする人って本当に限られていて、ほとんどの人は思うことがあったとしてもメーカーに直接意見したり提案などしたことないと思います。僕自身もそうです。よほどなことがなければ言いません。


企業や団体にとって、悪意あるクレームではない限りユーザーから意見をもらえるのはとてもありがたいことではありますが、それは主観的な意見の可能性があり、受け取る側の判断力が問われます。


=  =  =  =  =


仕事柄いろんなところに出向くのでそのウラを見ることが多いのですが、トラブルがあるたびに、その原因を直接「禁止事項」としてしまう現場に遭遇することが多いです。


例えば「茶髪禁止」。今でこそ黒髪が流行ってたりしてめっちゃくちゃ明るい髪色の若い人も少なくなりましたが、これ、なんでダメなのでしょうか。誰か論破して欲しい。中学生の頃からその理由を聞いても全然納得できません。

やれ不良になるの、髪の毛いじってるヒマあったら勉強しろだの、高校入試に響くだの。いやいやいや、髪の色で他人の将来を勝手に決めないてくれ、とずっと思ってました。


今も茶髪を禁止している仕事は結構ありますね。その理由を聞くとだいたいクレーム防止のため。そしてクレームをつけているほとんどは年配の方々。

なぜ年配の方は茶髪に対して嫌悪感を抱くのか。


理由として考えられるのは、まずそういった文化や流行が若い頃になかったから。親世代になった80年代のいわゆる「不良」の中には髪を染める子がいたこと、90年代に茶髪ブームになったときのコギャルの印象。一生懸命育ててきたのに、髪の色など変えて…!(整形と同じレベルで感じている可能性)。あとは...年配の方の幼い頃の印象かもしれませんが茶髪イコール「外国人」のイメージ。欧米人、敵国、GHQ、欲しがりません勝つまでは、うちてしやまん。戦争怖い外人怖い…なのかなあ?


30年くらいずっと考えているんですよ。でも結論がまったく出てこない。茶髪にすると成績が下がるとか、科学的根拠なんて当然ない。そもそも茶髪の印象が悪いのも完全に主観。僕はどんなに明るい髪色にしている人を見ても嫌悪感なんて感じません。これも主観。


僕はそれよりも、黒髪できちんとした身なりで良い姿勢で目つき悪くて露骨にイライラしている人のほうがイヤです。そういう人にすごく遭遇するので。


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茶髪の話で勝手に盛り上がってしまいましたが、


何の話をしていたかと言うと、意見やクレームを無差別に受け入れてしまうとどんな結末が待っているかを想像して欲しいのです。


確かにクレームが出て、それを禁止すれば、それについてのクレームは起こらなくなると思います。

そしてまた違うクレームが。じゃあそれも禁止。

そしてまたまた違うクレームが。禁止。

禁止、禁止、禁止禁止禁止近視菌糸錦糸禁止。


その結果スタッフはだんだんと身動きが取れなくなり、余計なことを一切しないのが得策と、お地蔵さんのような微笑みの目が死んでるマニュアル人間になるのです。思考停止。


これじゃあロボットに任せたほうがいい、ってなるよね。



最近やっと働き方が変わってきたり、「お客様は神様」的発想はおかしい!と言えるようになってきて、売る側の立場も尊重されるように少しだけなってきた気もします。


企業や会社、お店が元気でいられる最も大事なことは、まずはスタッフが元気で、豊かな発想力を持って、みんなで良いものを作り出そうとする気持ちに溢れていることだと思います。そうすれば、お店や商品に対してのプライドも持つようになり、ちょっとおかしなクレームや商品に対する主観的な提案があっても、軸がぶれることなく良い方向へ進める策を考えられるはずです。



昭和っぽいのはもう本当にコリゴリ。古い古い!






荻原明(おぎわらあきら)


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