公開レッスンを企画した理由

音楽大学でよく開催されている公開レッスンをすることに決めたのは、個人レッスンを受けることにめちゃくちゃ緊張していたり、かなりの覚悟で応募してくださっている方がとても多いということがひとつ挙げられます。


また、個人レッスンを受けたことがない方が圧倒的に多いので、どんなふうにレッスンをするのかをご存知ないまま受けられるよりも、客観的に(自分の演奏に対して何か指摘をされる心配もなく)リサーチできる機会が欲しいと思ったからです。

音楽教室では体験レッスンというものを用意していて、無料で30分受けられますが、大人の場合それだけでは消化不良になることが多いので「お試し」の範囲を抜けられません。


何かそのちょうど中間に位置した企画を立てられないかなあと考えているときに思い出したのが公開レッスンだったのです。

それと同時に思いついたのが「楽器を一切吹かないトランペットに関する講義」でした。こちらは講習会という名前で先日開催しまして、3月にも行います。


こうした企画に参加していただければ、僕がどんなレッスンをするのかもわかるし、トランペットの演奏をする際にも参考になる情報を手に入れることができる。ということで今回初となる公開レッスンをすることにしました。


それが今週末の12日(土)です。場所は東京都文京区にあるプレスト音楽教室(丸ノ内線「茗荷谷」駅下車徒歩4分)。18:00-20:00で行います。明日21時で締め切りです。


公開レッスンでの内容を明確にしておいたほうが良いと思ったので、アーバン金管教本を用いてテクニックを手に入れるための演奏例とその練習方法の一例にしてみました。

アーバンなんてやったことないし、難しい、と思わないでください。アーバンは吹奏楽でもオーケストラでも、ソロでも絶対に出てくる基礎的な技術をひとつひとつカテゴリー分けして徹底的に練習できるように書かれている非常に効率の良い教則本で、どんな方にも通用する内容です。


今回はその中から8つのテクニックを取り上げて、内容的に初心者の方にも取り入れられるカテゴリーと、様々な場面で必要になる重要な内容を「初級」「中級」と分けて2名の受講生とレッスンを行います。受講生のレベルが初心者という意味ではありません。取り上げる内容は以下の通り。


初級者向けのレッスン(50分予定)

「シンコペーション」より1番(p.29)

「8分音符と2つの16分音符」より19番(p.34)

「長音階」より1番(p.65)

「半音階」より1番(p.82)


中級者向けのレッスン(50分予定)

「付点8分音符と16分音符」より13番(p.32)

「音の跳躍」より1番の(30)の1段(実音Es dur)(p.131)

「トリプル・タンギング」より1番(p.161)

「ダブル・タンギング」より77番(p.183)


アーバンはこの他にも重要なカテゴリーがたくさんありますが、全部やってたら終わらないので、厳選しました。


シンコペーションというのはリズムの一種ですが、はっきり言って今の時代、ジャズでもロックでもポップスでもこのシンコペーションがベースになって作られているようなものです。だから存在としては決して珍しいものではありませんが、クラシック系の奏者にとってシンコペーションを学習することは、奏者という立ち位置として非常に重要だと僕は考えます。それはなぜか、そしてどのような演奏になるようこころがけることが大切かを解説します。


8分音符と2つの16分音符、これは簡単に言えばシングルタンギングの練習です。楽譜に書かれたすべての音価(おんか=8分音符や16分音符など)を均一に演奏するための正しいタンギングについて、口の中の状態をしっかり説明した上で、タンギングをするための練習方法をレクチャーします。目に見えない箇所に関することはどうしても神秘的で都市伝説的で根拠のないアバウトな方法が蔓延してしまうのですが、それらはこの公開レッスンで一掃しましょう。


長音階はみなさんもきっとよく練習されていると思います。そもそも、なぜ音階を練習する必要があるのか、もっと言えばなぜ「調」がいくつもあるのか、シャープを5つも6つもつけないでもらったほうが演奏しやすいのに!と思ったこともあるかもしれません。ここでは、単に音階を演奏することだけに止まらず、調とは何なのかについても触れます。


今回取り上げる半音階の楽譜は非常にシンプルで簡単です。多くの方が初見でも演奏できるであろう簡単な楽譜を掲載するのには、アーバンさんの意図することがあるのです。教則本の落とし穴のひとつがここにあります。


付点8分音符と16分音符、僕はよく「付点」という言い方をしますが、ジャンプするようなリズムです。これも楽曲にはとても多く出てくるリズムですが、意外に上手に表現できる人が少ないのです。その理由は「聴く人とのギャップ」。演奏者が納得していても、聴く人にそれがきちんと届いていない場合があることを奏者は常に意識しなければなりません。


音の跳躍、インターバルとも呼びます。トランペットは音程が広いと難しいと感じる傾向にありますね。オクターブでも若干身構えてしまう方もいると思いますが、それ以上になるともっと大変。...なのでしょうか。

インターバルは「音域変化」について理解をすれば実はそれほど難しいテクニックではありません。このカテゴリーでは音域変化について簡単に解説します。ハイノートを出すヒントもここにあります。


トリプル・タンギング/ダブル・タンギング。これらが苦手な方の理由はとてもシンプルで、本当の(このテクニックにおける)「K」の位置を理解されていないからなのです。シングルタンギングで身につけた技術を発展させて、本当の「K」を見つけましょう。


ということで簡単に内容を紹介しましたが、アーバンうんぬんではなく、どれも演奏するために必要で重要なものばかりですよね。役立つ情報満載ですので、ぜひこの機会に公開レッスンを聴講されてはいかがでしょうか。


プレスト音楽教室オフィシャルサイト内特設ページにありますフォームよりお申し込みください。

応募締め切りが明日10日(木)21:00ですので、どうぞお早めにお申し込みください!

聴講ですので、トランペットは必要ありません。また、受講生が演奏されている楽譜はこちらでも参考資料としてご用意いたします。筆記用具などもありますので、お気軽にいらしてください。




荻原明(おぎわらあきら)


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