部活の活動時間縮小に賛成です

またツイートを拝借させていただきました。


この方のおっしゃりたいことはとてもよくわかります。時間は多いほうができることが増える「可能性」は高くなりますから。


でもちょっと冷静になってみませんか。そもそも活動時間を短縮することになった最大の理由は、教員の負担軽減です。部活動は基本的に無給で行っているにもかかわらず、早朝や休日までもがその活動時間となってしまう。部活だけでなく本業の仕事や様々な、学校に関することをこなしながらの部活顧問なんてマジで活動限界到達する5秒前です。

肉体的精神的負担を強いられている、この時代に合わない対応に教員の離職も多く、このままでは教員が減っていく一方です。

そんなことになったら(もうなりかけてるけど)部活どころの騒ぎじゃなくなりますから、とにかくそこをまずケアしましょう、ということが最も大きな理由でした。


そしてもうひとつ大切なこと。

部活動はプロフェッショナルを育成する場ではない、という点。僕もそうですが吹奏楽部出身の音大生ないし音大卒の人というのは、部活動がその後の人生を決めた道そのものだったために、その価値観が普通の人より圧倒的に高い(場合が多い)のです。しかし部活動というのは授業では知る事ができなかった専門的な分野の導入部分を知ることが目的であったり、自主性や社会性を身につけたり、健康を促進したりするものであって、昔は「不良」とよばれた学生が放課後に街を徘徊して悪さをしないようにするために学校に留めておく、なんて目的もあったとかなかったとか。


だからコンクールも、もちろん参加するなら金賞のほうが良いし全国大会行けたほうが良いかもしれませんが、それが部活動最大の目的ではないのです。


部活がきっかけでプロを目指すのは個人の自由ではありますが、全員に強制することでは当然ありません。また、卒業生が現役の部員に「俺がおまえたちの頃はなぁ」と言い出してしまうのも、時代の変化を抑制してしまい、大変危険です。そういう頼まれてもいないのにいつまでも部活に顔出す先輩って、社会で自分の居場所が少なく(自分で開拓しないのが悪い)変化を受け入れられない人に多いタイプです。両者共に何のメリットもないので良くない。


部の活動時間が減ったら演奏レベルが落ちるじゃないか!と焦っているのは子どもたちより学校にいる大人です。いわゆる「強豪校」と呼ばれる学校の部活動は有力な宣伝材料ですから、お金をかけてでも優勝やら金賞やらを獲得して欲しいわけです。ますます減っていく子どもたちを確保したいわけですから。


今回の部活動の活動時間縮小などの大きくバランスが変化するタイミングで混乱するのはある程度仕方のないことです。多分ですが、頭を使って対応している学校はそこまで大騒ぎになっていないのでは、と思います。

変化は大切です。世の中はどんどん変化しているのに、その流れに乗れず一切変化しようとしない学校や部活というのは、地盤のプレートがどんどんひずみを起こしているのをわかっているのに何も対策を取っていないようなもの。今回の部活動改革で、すでにパニックを起こしている学校があるとしたなら、変化への姿勢や考え方についてもう少し意識したほうがいいと思います。


まあこれは一過性のものだと思います。変化後の活動バランス感覚が芽生えてくれば、またこれまでとは違った部活のありかたに少しずつなっていくと思うのです。例えば、結果ばかりを追い求めずに(これが大切!)、これまで通り様々なイベントに参加することを目標にするのも良いでしょうし、ひとつのイベントに目標を集中させて大コンサートをするのも良いでしょう。

それに、この変化は指導者にとってもチャンスだと思うのです。短時間でも結果が出せる効率的な練習や音楽への理解を促せるニュータイプの指導者。だからこれから先、吹奏楽部の指導者になろうと考えている人は、そうした能力を持ったニュータイプを目指していけば需要は高いと思います。宇宙(そら)に行けば芽生えるのかその感覚。あ、すいませんなんでもないです。


逆に吹奏楽指導を片手間の仕事として、特に何も考えずにただ音大で学んだ受け売りばかりを口先に並べ、チューナー片手にピッチが合ってる合ってないメトロノーム片手にタイミング合ってる合ってないとか言ってるだけの部費泥棒指導者は少しずつ減っていくと思います。それはとても良い事です。ただ、ひとつ不安なのが、コンクール直前になると突如として現れる金メッキがけ職人(別名魔法使い)の高給取り指導者の存在。この人たちが今以上に活動範囲を広げてしまう可能性がある点です。これだけはやめていただきたい。学校の先生が安直な考えのもと召喚してしまうのが問題なのです。音楽は1日誰かに指導されたことで上達など本当はしません。上達しているように感じたら、そのマジックのタネを冷静に見極めてみてください。その時、何をしていたのか。


まあそれはともかく、部活そのものが効率的に活動できる環境に変化するきっかけを指導者が与えられれば、今までの意味不明な伝統(腹筋とか腹筋とか腹筋とか、あと腹筋とか)を削除して、本当に必要なことを効率よく行う姿勢になり、譜読みも早く、完成させる力も集中力もある部活に変えていけるのではないかと思います。ダラダラやることが意味のないことだと子どもの段階で理解できれば、やっと時代の変化に少しだけ乗れるのではないか、と思います。


とにかく、変化は悪いことではありません。

変化を楽しまないと。




荻原明(おぎわらあきら)

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