師匠である津堅直弘先生にレッスンを受けている音大生は大学での実技試験を控えた毎年1月のこの時期に門下生発表会があります。
しかし発表会とは名ばかりで、その実態は10名前後の審査員によって点数が付けられ、終了後に全員の前で1位から最下位までを口頭で発表されるという、どのコンクールよりも厳しく、刺激的なステージなのです。
そしてこの発表会、なんと今回で32回!実に32年間続いているのです。すごい!この間にオリンピックが8回開催してますからね!第1回目はソウルオリンピックの時ですよ!(調べた)
ここ数年はありがたいことに審査員として呼んでいただき、学生時代に死ぬほど緊張したこの発表会において緊張させるほうに立場が変わって再登場しています。
しかし残念なことに今回が...なんと最終回!...くっ!泣
最終回ということもあって、これまで開催されたすべてのプログラムを見せていただきました。
国分寺市の資料館のショーケースに保管したほうが良いレベル。
第1回目のプログラム!!これは初めて見ました。この保管の良さ、さすがです。資料館へ。
僕個人のことを言えば第5回から参加させていただきました。この時は高校1年生。習い始めてまだ1年も経っていない頃で、正直言って本番のことはまったく記憶にございません。人前でソロを1曲吹くなんてしたことなくて、めちゃくちゃ緊張していたのだと思います。何より先生も自分も認めるめちゃくちゃヘタクソだったので、それはそれはドイヒーな演奏をしたに違いありません。だから記憶から抹消されたのだと思います。
しかし資料は残っているわけで、
この時は年齢順五十音順なので僕が最初だったようです(やっぱり覚えてない!)。これを見ると、同じ高校生部門で、現在東京交響楽団の首席奏者の澤田さんや、東京吹奏楽団の大野さんなどもいらっしゃったんですね(当時は面識ないので当然覚えてない!)。そのお二人だけでなく数年後には東京音大の先輩になる方、今でもお会いする方がほかにもいらっしゃいます。
この時は高校生(音大受験生)が現役音大生と一緒に参加していて、その後音大受験生部門というものが別日に開催されていた時期もあります。受験生部門でもめちゃくちゃ緊張していたのを覚えていますが、それは1列目に現役の東京音大の1つ上の先輩がめっちゃ怖い態度で聞いていたから(わざと。多分ネタ)。
現在は東京音大と洗足学園の学生がこの発表会に参加していますが、一時期はその他に愛知県県立芸術大学や沖縄県立芸術大学、尚美学園ディプロマコースや洗足学園の富山にあった魚津短期大学、東京芸術大学の学生も参加していて、最も多かった時期で100名近くの参加者がいたのではないかと思います。今回は55名のエントリー。でも結構な人数ですよね。
歴史のあるプログラムを拝見したり、津堅先生にまつわるお話をお聞きしていると、32年間音楽大学でのご指導、改めて先生の偉大さを感じます。また、津堅先生はN響の首席奏者も32年務められました。音楽家としては当然のことながら、先生の素晴らしいお人柄が多くの人を惹きつけています。
大学を卒業してからも、演奏に使ってくださったり、先生は「マルセル・ケンツビッチ」のペンネームで作曲もされ、その初演楽譜の浄書を任せてくださったり、東京音大の吹奏楽やトランペット専攻生への編曲のお話をくださったりと、もう28年以上も先生にお世話になりっぱなしです。
何と言うか、近くにいらっしゃるのに雲の上の人...。不思議な感覚。
これまでのお仕事に加えて現在は指揮者としてもますます活躍の場を広げていらっしゃる津堅先生。ご無理なさらず元気でご活躍していただきたいと願います。
長くなったので、最終回となった発表会についてはまた明日。
荻原明(おぎわらあきら)
0コメント