坂下武巳先生のバンドディレクション(東京音大吹奏楽アカデミー)

東京音大は8月末から授業が再会です。もう少し春学期(前期)が続いていまして、引き続きZOOMでのバンドディレクション授業でした。


そして今回ゲスト講師としてご参加いただいたのは坂下武巳先生です!


坂下先生は公立中学校の音楽の先生として長年に渡り吹奏楽の指導にあたり、現在は鹿児島市立桜丘中学校吹奏楽部の顧問をされています。

鹿児島にいらっしゃるため東京音大に実際にいらしていただくのは難しかったと思います。今回は遠隔だからこそ実現したわけで、そう考えるとこの方法の授業にもメリットがあると思います。


坂下先生は、画面越しではありますが、優しく明るい、暖かなお人柄を感じます。こんな音楽の先生の授業を中学生の時に受けてみたかったです。

前半は教員は日々どのようなお仕事をされているのか、教師とは何か、教師に必要な資質など貴重なお話を聞かせていただきました。

そして後半は桜丘中学校で実践されている様々な練習方法を紹介してくださいました。


中学生くらいまでは特に、みんなの前で自分自身を出すことを躊躇してしまう子がいて、演奏にもそれが出てしまうために、楽しみながら「自分」を全身で表現する様々なカリキュラムを実践されていました。音楽的な意味以上に、みんなが明るく楽しく元気に過ごすことを第一に考えていらっしゃることはさすが学校の先生だな、と感じます。


確かに僕も部活指導をしていて、とても元気なグイグイ来る子もいれば、ちょっと引っ込み思案で話しかけても目も合わせてくれない子もいますから、演奏に温度差が生まれてしまうことがあることはわかっていましたが、音楽を通して明るく楽しくなってもらおうと考えるばかりで、音楽から切り離して考えたことが正直ありませんでした。坂下先生の指導には学ぶべきことがたくさんあります。


合奏の様子も動画で拝見しました。桜丘中の演奏はチューニングやハーモニー練習だけでも十分わかる暖かで優しい音色。良い集中力でリラックスしている音でした。桜丘中の演奏を聴いてハッとしましたが、多くの吹奏楽部の演奏は緊張感が強すぎることが理由だと思うのですが、体や精神の硬さが影響して、張り詰めた音を耳にする機会が多い印象です。


そして生徒さんが自主的にパート練習やセクション練習のメニューを考え、手作りで一生懸命書いた資料も見せて頂きましたが、部員みんなの意欲がとても強く感じました。

坂下先生が「書き方が間違っているところもあるけれど、そんなことよりも子どもたちが一生懸命作ってくれたこのプリントが私にとって一生の宝物」との言葉に感動しました。


吹奏楽アカデミー専攻独自の授業、バンドディレクション。昨年からたくさんの名だたる吹奏楽指導者の先生にゲスト講師としてご参加くださっておりますが、みなさんに共通していることは、音楽と子どもたちへの愛情の深さ、そして人間的な大きさと優しさです。

見習うべきことがたくさんあって、いつも勉強させていただいております。


今回紹介してくださった練習内容や風景はDVDとして発売されております。


坂下先生、ありがとうございました!




荻原明(おぎわらあきら)


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