最近30年前の自分の音大受験のことをここでお話しています。
これまでに書いたのはこんな記事です。よろしければご覧ください。
音大受験には「聴音」という試験があります。今はそれがない専攻とか、他のいくつかから選択することができる場合もありますが、当時はそんなものはなくて、いくつもの試験を受けなければなりませんでした。
聴音というのは、聴こえてきたメロディや和音を楽譜に書き表すことで、これは音楽の知識と絶対音感を持った人が超有利です。一方、僕は中学校でトランペットを始めるまでは音楽とは無縁の生活をしていたので当然絶対音感など持っておらず、それどころか楽譜が理解できるようになったのも中学3年生くらいになってからです(部活では音源を暗記して吹いていた)。
そんな人間にっとって非常に難解な試験課題のひとつが、この聴音なんです。
高校1年生になってすぐピアノのレッスンに通うようになり、そこで聴音など音楽の基礎のレッスンも習っていました。が、当然聴音は壊滅的にできません。僕なはぜかリズムだけは理解できたので、楽譜としての形を完成させることはできたのですが、書いた音ほとんどが間違っているため、毎回の答え合わせで修正した真っ赤の楽譜が完成するわけです(自分で答え合わせをする流れでした)。
コツやらポイントやら、いろいろ教わってはいたものの牛歩な成長で、聴音だけはどうしても誰かに弾いてもらわないとできないものなので、実践的な練習もできなかった、というのも成長の遅さを助長させていた要因だと思います。今はオンライン上で聴音体験的なこともできるので、便利だなと思いますが、当時はそんなものありませんからね。演奏CD付きの自習聴音の楽譜も売ってはいましたが、結構高額だし、一回やってしまうともう使えないのもひっかかって購入しませんでした。
そんな感じだったので、とりあえず自分でできることを可能な限りやってみようと考えて実践したのが、こんなことでした
- レッスンで使った聴音をもう一度弾く、歌う、書く
- いろんな曲をどんどん弾いて歌って写譜する
- コール・ユーブンゲンを頑張る
- 音階を完全に覚える
音程が取れないので、歌の基礎教本「コール・ユーブンゲン」でそれぞれの音程をできるだけインプットしたり、世の中の曲がどんな構造になっているのかをできるだけ沢山知ろうと頑張ったり、楽譜を書くスピードと読みやすさのスキルをできる限り上げるため、浄書の本を買って勉強するなど、一応努力はしていました。今になって思えば和音や和声をもっと深く理解しておけばよかったな、と思います。
が、やはり成長は遅い。
トランペットあるあるだと思いますが、B dur(変ロ長調)の聴音課題になると書き終わった最後が記譜上「ド」になっていて、どこからin B楽譜にずれたのかパニックになったまま終了する、なんてことはざらでした。もし入試の聴音がB durかg moll(ト短調)だったら落ちていたと思います。
今更ですがこれ書いて思いました。入学できてホントによかった、と。
荻原明(おぎわらあきら)
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