音大受験を志す方がレッスンにいらした時、僕は必ずひとつ質問をします。
「なぜ音大に行きたいのですか?」
最も多い回答は「楽器のプロになりたいから」です。プロオーケストラに入団したいなど。学校の音楽の先生になりたい、という進路もあります。
そうした志を持っていることはとても大切です。
音楽の先生はともかくとして、例えば先ほどのようにプロオーケストラに入りたい、という夢を持っている方には、若干残酷な質問をします。
「オーケストラに入団できる確率は非常に狭いし、そもそもタイミングよく席が空くかどうかもわからないけど、もしその夢がかなわなかったらどうする?」
このあたりを考えておくことも大切ですが、音楽に関わっていく道はかなりたくさんありますし、大学生活をしていく中で具体的に決めていければ良いのです。どんどん興味が変わるかもしれませんし。
しかし問題なのは、そうした夢に対してネガティブな可能性を聞かされてテンションが落ちてしまった方や、僕の中でのNGワード「楽器が好きで、もっと吹いていたいから」を言ってしまった人へは、たくさん相談してから進路を具体的に持ってもらうように心がけています。
もちろん楽器が好き、音楽が好き、演奏することが好き、という気持ちはとても大切で、絶対に持っていてほしいことなのですが、進路を決める上でのこの言葉は、裏側に「一般大学の勉強をしないでも良い口実」のニオイを感じることがあるからです。これはいけません。
音楽は、当然ですが音楽の勉強をたくさんしなければなりません。しかも音楽理論は理論で終わらず、それが演奏と直結しているために、かなり専門的なところを学ぶ必要があります。要するに音大は楽器だけ吹いているわけではないのです。ピアノや歌、聴音もあります。
部活動の吹奏楽でトランペットを吹いていて、合奏楽しい!曲吹くの楽しい!部活楽しい!と思うのは、それは趣味でやっている範囲の「楽しい」です。しかし音大の中では評価され、課題を出され、実力差が生まれていくわけで、ワイワイ楽しんでいるだけではない次のステージにある「学ぶことで得られる楽しさ」を追求できる人でなければ、きっと苦痛になってしまうと思います。
音大を目指すのは素晴らしいと思いますが、もし今進路で音大を視野に入れている方は「なんで音大に行きたいのか」「将来どうしたいのか」を具体的に考えてみてください。
荻原が講師をしているプレスト音楽教室では「音大・音高受験クラス」があります。専攻のレッスンはもちろんですが副科ピアノ、楽典や聴音などのソルフェージュ、声楽などすべての試験項目をひとつの教室内で学ぶことができるコースです。体験レッスンもただ楽器のことだけでなく、進路相談もセットで行いますので、これから何を学ぶ必要があるのか、自分の進路にあったレッスンを組むための提案などもさせていただきます。
詳しくはプレスト音楽教室のホームページをご覧ください。
荻原明(おぎわらあきら)
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