理論は実践的ではありません。
僕はレッスンで理論的な部分に触れることが多いのですが、「理論は地図のようなもの」とよく話をします。
地図は道に迷ったとき、正しい場所に戻る道しるべになります。
目的地にたどり着く際の最短ルートを知ることができます。
しかし、部屋の中で地図を見ているだけでは知識は増えるかもしれませんが実践的な意味がありません。
自身の演奏レベルを高めるために理論は知っているほうが良いのは当然ですが、教える側に立った際も理論が役立ちます。理論を持っている人の話には一貫性があります。結論までの道のりを明確に伝えられます。なぜ上手くいかないのか、どこで迷っているのかがわかります。
教える、というのはもちろん誰かに伝える行為ではありますが、自分に対して教える時にも同じように役立つわけですから、やはり大切なことなのです。
そして理論という強固な足場から、実際の演奏に飛躍することができる、というわけです。
音大生になる、ってそういうことだと思います。ただ演奏するのが好きだから、では足りないし、頭でっかちになりすぎるのもつまらない。楽しく、自分自身の持っている音楽を発揮するためにきちんと理論を持ち、そして自由に演奏する。そうしたプレイヤーは何かを教えるようになっても安定感がある人間になれると思います。
荻原明(おぎわらあきら)
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