東京音大吹奏楽アカデミーの合奏授業は、春学期、秋学期2回の学内公演があります(これも授業です)。
そして現在は12月11日の修了演奏会に向けて合奏をしておりまして、今回のテーマは「民族音楽」。世界の民謡や舞曲など、その土地に古くから根付いた作品を取り上げております。
それに加えて、客員教授でもある作曲家の天野正道先生の作品「雫」を吹奏楽アカデミー編成のために改めて書き直してくださいました。
管打楽器専攻で行われている吹奏楽授業はあくまでも学生だけで作り上げることが目的になっている一方、吹奏楽アカデミー専攻は合奏授業も本番も各楽器の講師が参加している点が特徴のひとつです。ですから、指揮の下野先生、外囿先生のご指導だけでなく、学生の周辺には何人もの講師がいるので、プロの演奏をリアルタイムで感じ、そしてアドバイスも豊富に受け取ることができます。
メリットが多い一方で、講師の演奏能力が強いサポートになりすぎてしまうのもよろしくないので、必ず学生だけで演奏する作品を1つ用意しています。今回その作品がブログのタイトルになっている西村朗先生作曲の「秘儀Ⅱ」です。
西村先生の「秘儀」と聞くと2015年度吹奏楽コンクール課題曲のひとつだった「秘儀 III ー旋回舞踏のためのヘテロフォニー」を思い出す方も多いかと思います。
秘儀シリーズはいくつもありますが、この「秘儀Ⅱ」は副題に「7声部の管楽オーケストラと4人の打楽器奏者のための」と書かれているように、少人数で演奏できるパート割りになっているため、今回この作品に挑戦することになりました。
本来はその7声部を複数の楽器が担当するため、人数はもっと必要なのですが、今回はアカデミーの学生がそれぞれ1声部ごとを担当しています。ですので誰も頼れる人がいません。
さて、いわゆる現代曲と言われるこうした作品、直接聞いていないのでわかりませんが学生のみなさんはどのくらい接したことがあるのでしょうか。
現代音楽(現代に作曲された音楽)、好きな方もいれば苦手という方も結構多い。僕はどちらかと言えば好きですが、苦手としている人、中でも演奏する側で苦手意識を持っている人の多くは、楽譜を理解するのが難しいと感じる点だと思われます。
とは言え、「秘儀Ⅱ」はきちんとした拍子の中に普通にリズムが入っているので、そこまで難易度的に高いわけではありませんが、やはりそれらをアンサンブルするためには自分のパート以外のことも理解しているなど、より「楽譜(スコア)を読む」「楽曲を理解する」スキルを要求されています。
最初の頃の合奏はなかなかすごい状態でしたが、少しずつ形になってきているように感じます。春学期の学生だけの演奏に比べれば格段に上達しているのもわかるので、本番が楽しみです。
また、この作品は打楽器奏者が4名必要なので、打楽器だけは講師の先生フル稼働してくださっており、プロフェッショナルな打楽器の演奏は練習の段階でも大変に魅力的で、いつも授業では楽しく聴かせていただいております。
吹奏楽アカデミー専攻秋学期の修了演奏会は12月11日(水)です。ぜひご来場ください!
荻原明(おぎわらあきら)
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