僕が講師をしているプレスト音楽教室のトランペットクラスの生徒さんの多くは、入会される前から吹奏楽団やオーケストラ、ジャズバンドなどに所属されています。ただ、僕のクラスにいらっしゃる方は、多分僕が長年ブログでトランペットの吹き方について書いてきたそれらをご覧になってくださったことがきっかけなのだと思いますが、吹き方に悩みを持っていて、どのように演奏したら良いかわからない(わからなくなってしまった)方が多い印象です。
非常にありがたいですし、それだけ責任も強く感じます。
僕はレッスンというものを「上手になるためのレッスン」ではなく、「上手になるための知識や方法を得るレッスン」と考えています。これらの相違点は「直接的」か「間接的か」です。
この直接的/間接的というのは、音楽のレッスンに限らず、スポーツや教育現場でなど教える立場にいる人を大きく分ける2つのタイプだと思っています。
直接的というのは、スバリその方法を教えて叩き込むタイプ。
間接的というのは、生徒が自ら結論を導き出せるよう手助けをするタイプです。
小中学生の時、直接的な教え方をする先生がどうしても好きになれませんでした(人間的にではなく)。数学や英語などで「細かいことはいいからこれを覚えればテストで点数取れるから!」と言う言葉がすごく苦手で、確かに先生は授業でやらなければならないことも多いし、テストで成績を上げることや志望校に合格するために教えなければならないわけですから、仕方のないことではあると思うのですが...。
一方で、間接的な教育をする先生が大好きでした。なぜそうなるのか、その仕組みをきちんと教えてくれたり、「なんでだと思う?」と問いかけて一緒に考えてくれる先生。
多分このタイプの先生が好きなのは、僕の両親は2人とも教員で、2人とも後者のタイプだったからだと思います。(意図的か無意識かはわからないけど)幼い頃から自ら答えを出すまで待ってくれて、ひとつの結論に達したそれを否定されたことがなく、「学ぶ」ことを楽しめる環境だったと思います。これが今の僕に大きな影響を与えていることは確実です。
ですので、直接的タイプのレッスンを求められている方は、「細かいこと(=理論)は良いからコツ(=直接的方法)を教えて欲しい」と感じてしまうために、僕のレッスンに耐えられないかもしれません。以前も体験レッスンで「理屈っぽいレッスンでしょ?」と少々おどけて言ったら真顔で「そうですね」と言われて帰られた方がいらっしゃいました。別にそれは生徒さんが判断することだから構わないです。でも、ひとつ言えることは、方法だけ手に入れて結果が即出ている人に出会ったことがありません。仮に方法だけ伝えてできた人は、僕が何も言わなくても最初からできている人です。これはもう何百人とレッスンをしてきたのでわかります。
かと言って、この両者のタイプ、どちらが素晴らしいとかそういうのはありません。単に僕が間接的な方法でレッスンをしている、ということです。合う人、合わない人がそれぞれいて当然です。人間だもの。
僕は、トランペットの上達にはじっくり腰を据えて研究することが大切だと考えています。ジグソーパズルはスタート時の、あの進展しない感じが非常にまどろっこしいのですが、ピースが繋がり始めた時のあの加速感がたまりません。
トランペットも同じです。ひとつの理論が自分の中に正しく構築されると、それを中心にあらゆるスキルが手に入ったり、考え方に具体性が生まれます。これは理論を手に入れ、理解していなければ得られない感覚です。直接的に教わってしまうと、なぜできるようになったのか理解できていない場合が多いからです。
ということで、理屈っぽいけど明確な課題を持ち、意欲的にじっくりトランペットを楽しめる、そんなレッスン、受けてみませんか?年度変わりの今は良いタイミングだと思います!
荻原明(おぎわらあきら)
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