毎週月曜日は東京音大の楽器別指導法という授業があり、吹奏楽アカデミーの講師が順番に専門の楽器について講義をしています。昨日までの3週にわたり、クラリネットについてたくさん勉強しました。
講師は東京佼成ウインドオーケストラの原浩介先生と、シエナウインドオーケストラの近藤薫先生という日本を代表する吹奏楽団の奏者という豪華さ。
第1週目は様々なクラリネットについて学びました。
クラリネットは管楽器の中でも仲間がたくさんある楽器です。いつもはあまり見かけることがない(見かけてもそこまで詳しい話しを聞くことができない)特殊な楽器まで先生方が実際に音を聴かせてくださいました。
他にもクラリネットの素朴な疑問であるリードミスがなぜ起こるのか、という話題は大変に勉強になりました。金管楽器で言うところの不確定な振動を発生させてしまうのとはまったく別の状況だったとは知りませんでした。
いや、ホントにこれ、学生だけでなく講師も勉強になってますマジで。
第2週目は近藤先生が担当してくださいまして、初心者へ指導するときに知っておきたいことを中心に、多くの実践的な内容となりました。
最初にクラリネット専攻の学生と3重奏を披露してくださり、構え方、リードのセッティング、リードの選び方、音の出し方、メンテナンスなど指導現場で直接役に立つお話でした。
クラリネットではない学生2人が実際に音を出すことになったのですが、ふたりとも特に習ったわけでないのに、信じられないくらい上手に音が出せることにどよめきが(笑)
あまりに上手だったので最初に披露してくださった3重奏を演奏することに。
...普通に吹いてるし。なんでだ!すげー!
クラリネットの面白いところは、マウスピースより下の部分を180度回転させても演奏ができる点。ということは、リードを振動させられる状態になった初心者は音を出すことだけ専念すれば、フィンガリングを先輩や先生に担当してもらえれば簡単な演奏ができるわけです。ですから、部活動の仮入部でちょっと音が出せたら、いきなりみんなと合奏ができてしまう。これはとても魅力的ですね。
第3週目は原先生が担当してくださいました。
1週目で紹介していなかったバセットホルンについてなど、より専門的な内容を資料をともに紹介してくださり、クラリネットの特殊奏法について実践を交えて解説をされました。
クラリネットのソロといえば、メイエさんのCDは何枚か持っていますが...いわゆるベタな協奏曲や小品くらいしか実は聴いたことがなく、重音が出せることをこの日初めて知りました。
いわゆる現代音楽のソロ作品を実際に演奏してくださいましたが、興味深いですね。もちろん楽器別指導法と言うくらいですから授業コンセプトとしては専門ではない楽器の指導知識を増やすことが一番の目的ですが、それぞれの楽器がどれだけの可能性を持っているのかを知り、指導者自身がより深く興味を持つ、というアプローチも必要なことです。
授業後半は先週と同じようにクラリネット専攻ではない学生が実際に吹いてみましたが、彼女たちを中学1年生の初心者である、として、初心者がやってしまいがちな音の出し方に対して、なぜそうなってしまうのか、どのようなアドバイスで解決へと導くのかをレクチャーしながらの楽器体験でした。これはまさに現場で必要なスキルです。
専門ではない楽器がきちんと鳴ってないことがわかっても、それがなぜ鳴っていないのか、どうすれば解決するのかがわからず「練習しておいて」とか「もっと鳴らして!」とか言ってしまう指導者はあまりよろしくありません。
また僕が勉強になりました。
ということで3週に渡ってクラリネット三昧な講義、大変有意義な時間でした。
この授業、楽しいです。
荻原明(おぎわらあきら)
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