うまくなる、って何だろう

突然ですが、「うまくなる」って何ですかね?


あ、楽器、音楽の話です。


うまくなるために楽器の練習をする、とは言っても、残念ながら向上の差はどうしても生まれてしまいます。これって才能?もちろんそういった要素がないわけではありませんが、才能もひっくるめて練習の『内容』が最も大きいと思われます。


言葉遊びみたいになってしまうのですが、「うまくなるために楽器の練習をする」のではなくて「うまくなるために楽器で「どのような」練習を「どうのように」「どれくらい」練習するのか」を考えて、実践し、フィードバックをしてアップデートするんです。


めんどくせー!って思ったら残念ですがうまくはなりません。そういう方は、できることはできて、できないことはずっとできない状態が続きます。


「どのような」練習?

ただ楽器から音を出しているだけでは練習とは呼べず、それは「楽器から音を出している」だけの行為です。うまくなるためにどのような練習をするのかを決めて、その目的達成のために音を出さなければ意味がありません。例えば、


・ウォームアップ

・楽器の基本コントロールの基本

・テクニックの習得、発展


3つにわけましたが、さらに細分化する必要がありますね。ここでは割愛しますが。

そして、楽譜や音楽そのものの基本を理解しておかないと演奏ができません。


・楽譜の基礎を理解する(楽譜と実際の演奏の関係)

・音楽の基礎を理解する(音楽はどのように作られているのか)


室内楽などの曲作りをしていく上で、相手と会話が噛み合わなくなることありませんか?意見が対立しているのではなくて、同じような話をしているのに、何か手応えがないような感覚を持つといった感じ。

それは、音楽の構成の基本がいくつかのレイヤー(層)になっていることを理解しないまま話しているからです。ビートがあって拍子があってフレーズがあって演出効果がある。音楽はそうしたレイヤーになって作られています。だからフレーズ感を持って歌おうとしているのに、他の人が「テンポにきちんとはまってない」といい出したり、美しい音程感を求めていたら、ピッチがチューナーとずれたとか言い出す人がいたり。全然違うレイヤーの話を持ち込んでしまうと、会話が成立しないのです。だから音楽の構造の基本は理解しておかなければ話は進みません。

吹奏楽部でも「メトロノームに合わせる」「チューナーにピッチを合わせる」ことばかり行なっていて(もちろんそういった練習も必要かもしれませんが)、フレーズからテンポを生み出すとかそういった発想で作ろうとしないから、いつまでたっても同じことを繰り返してしまうんですね。効率的ではありません。



他にもあります。演奏表現の知識です。

歌うとは、表現するとはどういったことか。作品を最も活かすための場面ごとの解釈。そういったものを理解する力、考える力を養うことです。これを持たないままに合奏をして、指揮者が「その場面はオペラ歌手のように歌って」とか「トランペット、ファンファーレなんだからそれらしく!」とか「緩急をつけて」とか「フェルマータを効果的に」とか、言われてもそれが具体的に理解できなければ意味がありません。

これらの知識を得るためには素晴らしい作品を沢山聴くことです。過去の名録音を聴くのも大切ですし、様々な楽器の演奏を聴くこと、そして何よりライブで音楽に触れること。ボーっと聴くだけでなく、それを自分の糧にすべきアクションを起こす情報収集をするのです。



そして、アンサンブルの知識と実践力です。

指揮者の棒の動きに全員が合わせることがアンサンブルではありませんが、知らないとそういうものだと思ってしまう人もいるし、指導者でそういうことを平気で言ってしまう人もいます。吹奏楽コンクールを見ていると、全員が指揮者から片時も目を話さない団体がたまにいますが、本来それではアンサンブルは大変やりにくくなるはずなのですが。教育とは正しくありたいですね。



思いついただけでもこれだけあります。これを細分化して、一番必要なことをどうやって習得していくか、こうやっていかないとどれだけ時間があっても足りません。部活動だったらなおのことです。

こうしたことを大きな紙に書いて矢印で繋げていったり、必要なことを書き込んでいったりすると、今何をすべきかが見えてくるのではないか、と思います。


「うまくなる」手段やアプローチは様々ですが、物事の根底にあるものを理論的に理解した上で正しい方向性で行う。これが大切だと考えます。




荻原明(おぎわらあきら)

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