吹奏楽アカデミーおさらい会

吹奏楽アカデミーの今年度最後の合奏授業は、実技試験も近いということもあり、ひとりずつ試験曲を演奏する「おさらい会」となりました。


専攻によって異なりますが吹奏楽アカデミーの実技試験は年度末のみなので、大学の中でソロの演奏をするのは初ではないか、と思います。

せっかくなので講師はひとりひとりに講評を書くことにしたので、(点数は付けませんが)審査員席のようなものを対峙するように正面に設置し、先日の津堅先生の門下発表会と同じような状況になったために、きっとこれは緊張するだろうなと思いました。


実際のところはどうだったか人それぞれでしょうが、想像以上にみんな上手。いつも合奏でみんなの音はたくさん聴いていたのでおよそどんな演奏をするか知っているつもりでしたが完全なソロになるとひとりひとりの個性や魅力、あとはクセとか克服すべき点などがより明確に見えてきます。


中でも全員本当に音色が素晴らしい。当然本人たちの実力なのですが、吹奏楽アカデミー専攻は個人レッスンに加え、合奏授業で四方八方からプロの奏者の音を聴きながら演奏している環境による影響力が相当強いのではと感じます。変な音出せませんからね。



さて、音大の試験対策なのでアカデミックなことも書きますと、やはり「ソロ」という形式に慣れていなことが理由だと思いますが、気になることもいくつかありました。


その中で最も僕が感じたのが、作品作りは自己プロデュースである、という点の理解度。まだまだ楽譜に書いてあることを忠実に演奏しようとする姿が見え隠れしているように感じました。しかし大切なのは楽譜に書いていないことを読み取る力と自ら生み出す表現力。

楽譜に書いてあること、例えばアクセントなら「アクセントと書いてあるからアクセントで演奏しよう」という発想、要するに受け身で演奏してしまっている傾向は否めません。アクセントがなぜ書かれているのか、作曲家はそのアクセントにどのようなイメージを込めているのか、そして、自分はそのアクセントをどのように表現し、聴く人へ何を伝えたいのか。そうした捉え方をすることで音楽は深味を増します。


また受け身的な楽譜の読み方をすると、フレーズ感が生まれにくく、どうしても音を並べる傾向になりがちだったり、休符のたびにフレーズが途切れてしまいがちです。

フレーズが生み出されなければ、結果的にフレーズとフレーズの繋がりで生まれるストーリーも当然生まれませんので、どんどん魅力を失った演奏になってしまいます。


音楽は「伝える」「届ける」行為。舞台からその気持ちを大きく発信してほしいと思いました。


今回のおさらい会では、全員の演奏後に講師から一言コメントをしたのですが、やはりみなさんこういった話が最も多かったように感じます。


そして最後には講師がひとりずつ書いた講評を渡しながらアドバイスをしました。大勢の講師に一気にいろんな話をされて混乱してしまったかもしれませんが、少しでも参考にしてもらえればと思います。


まだ1年生ですから、荒削りでもミスがあっても構わないと僕は思っています。失敗を恐れずどんどん試して吸収してソロもばっちり演奏できる奏者に成長してほしいです。


まだ実技試験まで少し時間があるので、今回指摘されたことや自分で気づいたことを少しでも良い方向に変換できるよう練習を重ねていってください。




荻原明(おぎわらあきら)

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